「せっかく節約して貯めたお金なのに、このままで本当に大丈夫なのだろうか…」
50代後半の主婦である私も、数百万の預金通帳を眺めては、漠然とした不安に襲われていました。銀行に預けていても金利はゼロに等しく、スーパーで目にする野菜や日用品の値段は上がるばかり。まるで、穴の開いたバケツに水を貯めているような感覚でした。いくら頑張って水を貯めても、物価高という穴から、せっかくのお金がじわじわと漏れ出していくような気がして。「このままでは、老後の生活が立ち行かなくなるのではないか…」そんな心の声が、日ごとに大きくなっていったのです。
銀行預金だけが「安全」という幻想:物価高で目減りする貯蓄の真実
多くの人が「銀行預金が一番安全」だと信じて疑いません。かつての私もそうでした。しかし、この「安全神話」は、現代の経済状況においては大きな落とし穴となることがあります。物価が上がり続けるインフレの時代では、銀行に眠らせたままの預金は、その価値を静かに、しかし確実に失っていくからです。
ある日、ファイナンシャルプランナーの友人である田中由美さんと久しぶりに会った時のことです。私が老後資金の不安を打ち明けると、由美さんは穏やかにこう言いました。「ねえ、裕子。銀行に預けているだけだと、実質的な価値は減っていく一方なのを知ってる?例えば、昔100円で買えたものが、今は120円出さないと買えないとすると、あなたの100円の価値は20円分減ってしまっているのよ。これがインフレの怖さなの」。
由美さんの言葉は、私の頭をガツンと殴られたような衝撃でした。確かに、節約して貯めたお金は「数字」としては減っていない。でも、そのお金で買えるものの量は確実に減っている。それは、まるで静かに忍び寄る泥棒に、大切な資産を少しずつ盗まれているような感覚でした。「なぜもっと早く、このことに気づかなかったのだろう…」後悔の念が胸を締め付けました。
60代からでも遅くない!新NISAで未来を拓く私の決断
由美さんは、そんな私に「新NISA」という選択肢を教えてくれました。「60代からでも遅いなんてことはないわ。むしろ、今から始めることで、これからの人生をより豊かにできる可能性が広がるのよ」その言葉に、私は一筋の光を見出した気がしました。
正直、最初は「投資」と聞くだけで身構えていました。過去に怪しい投資話に誘われたこともあり、「リスクが高い」「私には難しい」という先入観があったからです。しかし、由美さんは新NISAの仕組みを、本当に分かりやすく丁寧に説明してくれました。「非課税で運用できること」「少額から始められること」「長期・積立・分散投資でリスクを抑えられること」。特に、「長期・積立・分散」というキーワードは、私のような初心者でも安心して始められる根拠となりました。
「いきなり大金を投じる必要はないの。まずは月1万円からでもいい。大事なのは、始めることと続けることよ」由美さんのアドバイスを受け、私は思い切って新NISA口座を開設し、月1万円から「全世界株式」の投資信託に積み立てを始めました。最初は毎日、株価の変動が気になり、ドキドキしましたが、由美さんが「短期的な上下に一喜一憂しないのがコツよ」と教えてくれたおかげで、少しずつ心のゆとりが持てるようになりました。
数ヶ月が経ち、私が積み立てたお金は少しずつですが、確実に増えていきました。銀行預金では考えられないような「増え方」を実感した時、「これなら私にもできる!」「もっと早く知っていれば、もっと安心できたのに!」と、心の底から嬉しさがこみ上げました。長年抱えていた老後資金への漠然とした不安が、少しずつ希望へと変わっていくのを実感できたのです。
FP田中由美さんが語る!60代からの新NISA「3つの安心ポイント」
私の体験談を聞いた由美さんは、新NISAが60代の方にとってなぜ安心できる選択肢なのかを、さらに詳しく説明してくれました。
1. 非課税メリットを最大限に活用できる
「新NISAの最大の魅力は、年間最大360万円、生涯で1800万円までの投資で得た利益が非課税になる点よ」と由美さん。「これまでのNISAと比べて非課税枠が大幅に拡大されたことで、より多くの利益を税金に取られることなく手元に残せるようになったの。これは、老後資金を効率的に増やす上で、とてつもなく大きなメリットだと思わない?」
2. 長期・積立・分散投資でリスクを軽減
「投資と聞くと、一発逆転を狙うギャンブルのように感じる人もいるけれど、新NISAで推奨されているのは、コツコツと積み立てていく『長期・積立・分散投資』よ」と由美さんは続けます。「世界中の様々な資産に少しずつ、長期間にわたって投資することで、特定の資産やタイミングに依存するリスクを大きく減らせるの。60代からでも、例えば10年、15年と見据えれば、十分に長期投資の効果を享受できるわ」。
3. 少額から無理なく始められる柔軟性
「新NISAは、月々数百円からでも始められる金融機関が多いの。だから、まとまったお金がなくても、自分のペースで無理なくスタートできるのが大きな魅力よ」由美さんの言葉は、まさに私が実感したことでした。「まずは家計に負担にならない範囲で始めてみて、慣れてきたら少しずつ金額を増やしていくことも可能だから、安心して一歩を踏み出してみてほしいわ」。
賢い60代が今日から始める新NISA:3つのステップ
由美さんのアドバイスを受け、私が実践した新NISAの始め方を、あなたにもご紹介します。
ステップ1:証券会社を選び、口座を開設する
まずは、新NISA口座を開設する証券会社を選びましょう。ネット証券は手数料が安く、商品ラインナップも豊富なのでおすすめです。私もネット証券で口座を開設しました。手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、各社のウェブサイトには分かりやすい解説がありますし、電話サポートも充実しています。もし不安なら、由美さんのように詳しい人に相談するのも良いでしょう。
ステップ2:投資する商品を選ぶ(おすすめは投資信託)
投資初心者の60代の方には、複数の株式や債券にまとめて投資できる「投資信託」が特におすすめです。特に「インデックスファンド」と呼ばれる、特定の指数(例:全世界株式、S&P500など)に連動するタイプのものは、専門知識がなくても分散投資の効果が得られ、手数料も比較的安価です。私は由美さんのアドバイスで「全世界株式」に投資するインデックスファンドを選びました。
ステップ3:積立設定を行い、長期で運用する
一度設定すれば、毎月自動的に一定額を積み立ててくれる「積立設定」を活用しましょう。これにより、株価の上下に感情を左右されることなく、淡々と投資を続けられます。大切なのは、短期的な値動きに一喜一憂せず、老後を見据えた長期的な視点で運用を続けることです。もし途中で不安になったり、分からないことが出てきたりしたら、無理せず専門家であるFPなどに相談することを強くおすすめします。
銀行預金 vs 新NISA:老後資金の未来を分ける選択
| 特徴 | 銀行預金 | 新NISA(投資信託) |
|---|---|---|
| 金利/期待リターン | ほぼゼロ金利(0.001%程度) | 年間数%の期待リターン(過去実績に基づく) |
| 物価上昇への対応 | 価値が目減りするリスクがある | 資産価値の上昇で物価上昇に対応できる可能性 |
| 非課税メリット | なし | 投資で得た利益が非課税 |
| リスク | 元本割れのリスクは低い(インフレリスクあり) | 元本割れのリスクはあるが、分散・長期で軽減可能 |
| 手軽さ | いつでも引き出せる | 投資商品によるが、換金に数日かかる場合がある |
60代からの新NISAに関するよくある質問
Q1: 60代から始めても本当に遅くないですか?
A: FPの田中由美さんによると、「全く遅くありません。人生100年時代と言われる今、60代からでも20年、30年と運用期間を確保できる可能性があります。始めるなら今が一番若い時です」とのことです。少額からでも、非課税メリットを享受しながら資産形成を始めることが重要です。
Q2: 元本割れが心配です。安全な商品を選ぶには?
A: 投資に元本保証はありませんが、リスクを抑える方法はあります。由美さんは「特定の個別株ではなく、全世界に分散投資するインデックスファンドなど、リスクが分散された投資信託を選ぶのが賢明です」とアドバイスしてくれました。また、生活防衛資金は預金として確保し、無理のない範囲で投資を行うことが大切です。
Q3: どのような金融機関を選べば良いですか?
A: ネット証券は手数料が安く、商品ラインナップも豊富でおすすめです。大手銀行でもNISAを取り扱っていますが、手数料や商品の選択肢を比較検討することが重要です。私もネット証券で始めましたが、手続きで困った時は電話サポートを頼りました。
Q4: 途中で資金が必要になったらどうすればいいですか?
A: 新NISAはいつでも売却して現金化できます。ただし、売却には数日かかる場合があるため、すぐに必要になるお金は投資に回さないようにしましょう。由美さんは「老後の生活資金とは別に、緊急時に備える貯蓄はしっかり確保しておくべき」と強調していました。
未来を拓く、賢い選択:老後への不安を希望に変える一歩を
銀行預金だけでは、物価高に負けてしまう時代。60代からの資産運用は、老後の生活を豊かに、そして安心して送るための、まさに「賢い選択」です。私自身、FPの田中由美さんとの出会いをきっかけに新NISAを始め、預金が目減りする不安から解放され、未来への希望を感じられるようになりました。
もちろん、投資にはリスクが伴います。しかし、新NISAは非課税という大きなメリットがあり、長期・積立・分散投資を基本とすれば、リスクを抑えながら資産を育むことが可能です。もしあなたが今、私と同じように老後のお金に不安を感じているなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいと心から思います。
まずは少額からで構いません。新NISAについて学び、信頼できる専門家(ファイナンシャルプランナーなど)に相談することから始めてみませんか。きっと、あなたの未来は、今日よりもっと明るく輝き始めるはずです。
この記事を書いた人
佐々木 裕子 | 58歳 | 60代からの資産形成専門webライター
50代後半の主婦。かつては銀行預金のみで老後資金に漠然とした不安を抱えていたが、ファイナンシャルプランナーの友人との出会いをきっかけに新NISAでの資産運用を開始。自身の体験に基づき、同じ悩みを抱える60代の方々へ、分かりやすく、安心して始められる資産形成の情報発信を行っている。趣味はガーデニングと読書。

