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60代の医療費負担、賢く減らす秘策!家計を救う高額療養費・医療費控除

60代半ばを過ぎ、健康のありがたみを痛感する日々です。私も高血圧とコレステロールの薬が手放せなくなり、毎月の通院費と薬代が静かに家計を圧迫し始めました。50代から家計を預かる私、まさか医療費がこんなにも重くのしかかるとは思ってもみませんでした。

「このままでは、老後の生活が不安でたまらない…」

ある日、かかりつけ医で処方箋を受け取った時、薬局の窓口で提示された金額に思わず息をのみました。ジェネリック医薬品に変えてもらったばかりなのに、それでも家計簿につけるたび、心の中に重い鉛のブーツを履いているような感覚に陥るのです。一歩踏み出すたびに、貯蓄が軋む音が聞こえるようで、漠然とした不安が募るばかりでした。夫も持病の経過観察で定期的に通院しており、夫婦二人の医療費は月に数万円に上ります。年金暮らしが目前に迫る中、この出費をどうにかできないかと、夜な夜なインターネットで「医療費 節約 60代」と検索する日々が続いていました。

「知っている」と「行動する」の間に潜む見えない壁:なぜ医療費の負担は減らせないのか

私と同じように、多くの60代が医療費の増加に頭を悩ませているのではないでしょうか。厚生労働省のデータを見ても、高齢者医療費は年々増加の一途をたどっています。健康寿命と平均寿命のギャップが広がる中で、誰もが「健康で長生きしたい」と願う一方で、その「長生き」に伴う経済的負担は、時に私たちの心を深く蝕みます。

「高額療養費制度や医療費控除…名前は聞いたことがあるけれど、なんだか難しそう…」

これが、かつての私の正直な心の声でした。制度の案内は文字ばかりで、どこから手をつけていいのか分からない。役所の窓口に行くのも億劫だし、税務署なんて縁がない場所だと思っていました。多くの人が、私と同じように「制度の存在は知っていても、その複雑さゆえに行動に移せない」という見えない壁にぶつかっているのではないでしょうか。この壁こそが、私たちが不必要に医療費を払い続けてしまう最大の原因だったのです。

そんなある日、偶然再会した大学時代の友人、田中由美さんの言葉が、私の心に深く響きました。彼女はファイナンシャルプランナー(FP)として活躍しており、私とは対照的に、お金に関する知識が豊富です。カフェで久しぶりに語り合う中で、私が医療費の悩みを打ち明けると、由美さんは穏やかな口調でこう言いました。

「ねえ、恵子。その医療費、実は『払いすぎ』かもしれないわよ。制度を賢く使えば、もっと家計は楽になるはずよ」

由美さんの言葉は、まるで暗闇に差し込む一筋の光のようでした。私は藁にもすがる思いで、由美さんに詳しく話を聞くことにしたのです。

重い医療費の呪縛から解放された日:FPの友人が教えてくれた「家計再生の物語」

由美さんは、私の話をじっと聞いてくれました。高血圧とコレステロールの薬代、定期的な通院費、そして夫の持病の診察代。領収書を並べながら、私はどれだけこの出費が精神的な重荷になっていたかを吐露しました。

「毎月、家計簿をつけるたびに、ため息が出るんです。本当にこのままでいいのか、不安で不安で…」

由美さんは、私の言葉に深く頷きながら、ゆっくりと説明してくれました。

「恵子、まずは『高額療養費制度』と『医療費控除』について、正しく理解することから始めましょう。これらは、国が私たちの医療費負担を軽減するために設けている、とても大切な制度なのよ」

由美さんの説明は、これまで私が読んできた難解な説明文とは全く違いました。まるで「宝の地図」を解読してくれるように、制度の仕組みや申請方法を具体的に、そして分かりやすく教えてくれたのです。特に印象的だったのは、彼女が「医療費は、まるで水漏れしている蛇口のようなもの。まずはその蛇口をしっかり閉めることから始めましょう」と例えたことでした。

高額療養費制度:自己負担限度額を超えたら「還付」される救済策

由美さんはまず、高額療養費制度について、具体的な数字を交えながら説明してくれました。

「この制度は、同じ月にかかった医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される仕組みよ。例えば、70歳未満で一般所得者の場合、自己負担限度額は『80,100円+(医療費総額-267,000円)×1%』。これを超えたら、申請すれば戻ってくるの」

「え、そんなに複雑なんですね…」

「そう思うでしょう?でも、ポイントは『多数回該当』という制度。直近12ヶ月で3回以上、自己負担限度額を超えて高額療養費の支給を受けている場合、4回目からはさらに自己負担限度額が下がるの。これは、長期にわたって治療が必要な病気の人には、特に大きなメリットになるわ」

私は、夫の持病も長期にわたる可能性を考え、この「多数回該当」に希望を見出しました。由美さんは、さらに具体的な申請方法についても丁寧に教えてくれました。

「申請は、加入している健康保険組合や国民健康保険の窓口。通常は、病院から送られてくる『限度額適用認定証』を事前に申請しておけば、窓口での支払いが自己負担限度額までになるから、一時的な立て替えも不要になるわ。もし申請していなくても、後から払い戻しの申請はできるから、領収書は捨てずに保管しておくことが大切よ」

由美さんのアドバイスを受け、私はすぐに健康保険組合に連絡し、「限度額適用認定証」の申請手続きを行いました。数日後、自宅に届いた認定証を手に、私はようやく一歩踏み出せたような気がしました。

医療費控除:年間10万円超の医療費で「税金が安くなる」切り札

次に由美さんが教えてくれたのは、医療費控除についてです。

「医療費控除は、自分や生計を一つにする家族が、1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費の合計が、10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)を超えた場合に、その超えた金額を所得から差し引いて、税金(所得税・住民税)を安くする制度よ。これは年末調整ではできないから、確定申告が必要になるわ」

「確定申告…なんだか難しそうですね」

「そうね、でも一度やってしまえば大丈夫。対象となる医療費の範囲が広いのが特徴よ。診察代や薬代はもちろん、通院のための交通費(公共交通機関に限る)、入院費用、さらには出産費用や一部の市販薬も対象になることがあるの。ただし、美容目的の整形手術や健康増進のためのサプリメントなどは対象外だから注意が必要よ」

由美さんの言葉に、私はハッとしました。これまで、病院の領収書だけしか取っておらず、タクシー代やドラッグストアで買った風邪薬のレシートはすぐに捨ててしまっていたからです。

「え、通院のタクシー代も対象になるんですか?!」

「公共交通機関の利用が困難な場合など、やむを得ない理由があれば対象になるわ。まずは領収書を全て保管し、交通費は日時と経路をメモしておく習慣をつけましょう。そして、確定申告の時期になったら、国税庁のウェブサイトで『医療費控除の明細書』を作成して提出するの。今はe-Taxを使えば自宅からでも簡単にできるわよ」

私は由美さんのアドバイス通り、その日から全ての医療費関連の領収書を保管する専用のファイルを作り、通院交通費も細かく記録するようになりました。そして、年末になり、夫と私の医療費を合算してみると、年間でかなりの金額になっていることが分かりました。由美さんの助言がなければ、この大きな節税のチャンスを逃していたことでしょう。

【私が実践した医療費節約の具体的なステップ】

由美さんとの出会いをきっかけに、私は医療費節約に向けて具体的な行動を始めました。そのステップをご紹介します。

1. 全ての領収書を保管する習慣をつける: 病院、薬局、ドラッグストアで購入した市販薬、通院のための交通費(電車・バス代など)。どんなに少額でも、全てファイルに保管し、交通費はメモを取るようにしました。

2. 健康保険組合に相談する: 高額療養費制度について、自分の加入している健康保険組合(または市区町村の国民健康保険窓口)に問い合わせました。そこで「限度額適用認定証」を申請し、窓口での支払いを上限額までに抑えられるようにしました。

3. かかりつけ医を持つ: 複数の病院を転々とするのではなく、信頼できるかかりつけ医を持つことで、重複する検査や薬を避け、効率的な治療を受けられるようになりました。また、症状が軽い場合は、まずかかりつけ医に相談することで、不要な専門医受診を減らすこともできました。

4. ジェネリック医薬品を積極的に活用する: これは由美さんに会う前から実践していましたが、改めてその重要性を再認識しました。医師や薬剤師に「ジェネリックに変更できますか?」と積極的に聞くようにしています。

5. 予防接種や健康診断を計画的に受ける: 医療費控除の対象にはならないことも多いですが、病気を未然に防ぐための予防医療は、長期的に見れば最も大きな節約になります。自治体から届く健康診断の案内は必ず受けるようにし、インフルエンザワクチンなども積極的に接種しています。

6. 市町村の制度もチェックする: 由美さんから「自治体によっては独自の医療費助成制度がある場合もあるから、お住まいの市町村のウェブサイトも見てみて」とアドバイスを受け、調べてみたところ、高齢者向けの健康サポート事業や、特定健診の補助金など、いくつかの制度を見つけることができました。

これらの行動を実践することで、私の家計は劇的に改善しました。以前は医療費の請求書を見るたびに暗い気持ちになっていましたが、今では「知っていれば、こんなに変わるんだ」という希望に満ちています。あの時の安堵感は、今でも忘れられません。目の前に光が差したようでした。

あなたの医療費、本当に「これ以上は無理」と諦めていませんか?

項目以前の私(制度活用前)今の私(制度活用後)
医療費への意識「どうしようもない出費」「仕方ない」と諦めていた「賢く管理できる出費」「知識で減らせる」と前向きに捉えている
毎月の家計負担高血圧とコレステロールの薬代、通院費で数万円の圧迫高額療養費制度で自己負担上限まで、医療費控除で還付・節税
領収書の管理病院・薬局の領収書のみ。すぐに捨ててしまうことも全ての医療費関連の領収書を保管、交通費も記録
制度への理解名前は知っているが、複雑で申請を躊躇FPの友人から学び、具体的な申請方法まで理解し実践
心のゆとり医療費の不安で、老後の生活設計にも影を落としていた医療費を管理できている安心感から、趣味や旅行の計画も立てられる

知っておきたい!高額療養費制度と医療費控除のQ&A

Q1: 高額療養費制度の申請は、いつまでに行えば間に合いますか?

A1: 診療を受けた月の翌月1日から2年以内であれば、申請が可能です。ただし、由美さんによると、事前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、窓口での支払いが自己負担限度額までになるため、一時的な立て替えが不要になり、家計への負担が少なくて済むので、早めの申請がおすすめです。

Q2: 家族の医療費も合算して申請できますか?

A2: はい、高額療養費制度も医療費控除も、生計を一つにしている家族(配偶者、子ども、親など)の医療費であれば合算して申請できます。由美さんいわく、「夫婦や親子で別々の健康保険に加入していても、生計が一緒なら合算できるのが大きなポイントよ」とのことでした。これにより、自己負担限度額や控除額に到達しやすくなります。

Q3: 予防接種や健康診断の費用は、医療費控除の対象になりますか?

A3: 原則として、予防接種や健康診断の費用は医療費控除の対象外です。これらは病気の予防や健康管理を目的としているためです。しかし、由美さんによると、健康診断の結果、異常が見つかり、その後の治療に直結した場合は、治療に関連する費用として対象になるケースもあるそうです。詳しくは税務署や税理士に相談することをおすすめします。

Q4: 医療費控除の対象になる市販薬と、ならない市販薬の違いは何ですか?

A4: 医療費控除の対象となる市販薬は、医師の処方箋がなくても購入できる「一般用医薬品」のうち、治療や療養のために必要な医薬品です。例えば、風邪薬、胃腸薬、痛み止めなどが該当します。一方で、健康増進や美容目的のビタミン剤、サプリメント、栄養ドリンクなどは対象外です。由美さんは、「迷ったら、薬剤師さんに『医療費控除の対象になりますか?』と聞いてみるのが一番確実よ」とアドバイスしてくれました。

Q5: 高額療養費制度と医療費控除は併用できますか?

A5: はい、併用可能です。高額療養費制度で払い戻された後の自己負担額が、医療費控除の対象となります。由美さんも、「高額療養費制度で医療費が軽減されても、その後の自己負担額が医療費控除の基準額を超えれば、さらに税金が安くなる可能性があるから、ぜひ両方活用してほしいわ」と強調していました。この二つの制度を賢く組み合わせることで、医療費の負担を最大限に軽減できるのです。

未来への投資、今始める賢い選択

60代半ばになり、医療費という「見えない鎖」に縛られていると感じていた私ですが、FPの友人、田中由美さんとの出会い、そして国の制度を正しく理解し行動することで、その鎖を断ち切ることができました。医療費は、もはや「どうしようもない出費」ではありません。知恵と行動で、必ず道は開けます。

この記事を読んでくださったあなたも、ぜひ今日から一歩踏み出してみてください。まずは、全ての医療費関連の領収書を集めることから始め、お住まいの市区町村の窓口や健康保険組合に相談してみましょう。そして、もし可能であれば、私のようにファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも強くおすすめします。彼らは、複雑な制度を分かりやすく解説し、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスをくれるでしょう。

医療費の負担が軽くなれば、心にもゆとりが生まれます。そのゆとりは、きっとあなたのセカンドライフをより豊かで、希望に満ちたものに変えてくれるはずです。未来への投資として、今こそ賢い選択を始めませんか?

この記事を書いた人

佐藤 恵子 | 60代 | シニア世代の家計と健康を応援するwebライター

私自身も高血圧とコレステロールの薬を服用しており、医療費の負担に悩んだ経験があります。その経験から、同じような悩みを抱える方々の力になりたいと、FPの友人から学んだ知識や、自ら制度を活用した体験談を元に執筆しています。家計にゆとりを持ち、心穏やかなセカンドライフを送るための情報を提供できるよう、日々研鑽を積んでいます。