「ねえ、あなた。そろそろ二人で温泉にでも行かない?」
夫のそんな一言に、60代主婦の私も、心は温かくなると同時に、チクリと痛みました。子育ても一段落し、これからは夫婦水入らずで旅行でも…と夢見ていたものの、現実の壁が立ちはだかります。宿泊費、交通費、お土産代…。「一体いくらかかるんだろう?」そう考えると、せっかくの旅行計画も、ため息とともに消えていくばかり。旅行雑誌をめくっては「この豪華な宿、素敵だけど高すぎるわね…」と、そっと本を閉じる日々。夫の期待に応えたいのに、このままでは諦めるしかないのかしら…と、私は一人、深く悩んでいました。
諦めかけた夫婦旅行…なぜ私たちは「お得」を見つけられないのか?
私も最初は、インターネットで「60代 夫婦旅行 格安」なんて検索していました。でも、出てくるのは広告ばかりで、本当に私たちに合った情報が見つからないんです。「シニア割引」と書かれていても、実際には適用条件が複雑だったり、そもそも割引額が微々たるものだったり。「これじゃ、若い頃と変わらないじゃない…」と、画面とにらめっこする時間が無駄に感じられ、焦燥感が募るばかりでした。夫には「ネットで探してるんだけど、なかなかね…」とごまかし、内心では「こんなに探しても見つからないなんて、私の探し方が悪いの?」と、自己嫌悪に陥ることもありました。まるで、森の中で出口を探しているのに、どこもかしこも同じような木ばかりで、道に迷ってしまったような気分でした。
「その探し方じゃ、損してるわよ!」友人の一言が私を変えた
そんなある日、長年の親友で、旅行の達人として知られる美咲さんとカフェで会いました。私が夫婦旅行の悩みを打ち明けると、美咲さんは私の話をじっと聞いてくれ、そして静かに言いました。「ねえ、もしかして、インターネットでただ漠然と『安い宿』を探してるんじゃない?それじゃ、本当にお得な情報は見つからないわよ。特に60代の私たちには、もっと賢い探し方があるのよ」
美咲さんの言葉は、まさに目から鱗でした。私はただ漠然と「安い」という言葉に囚われ、具体的な割引制度や、私たち夫婦に特化した情報源を見落としていたのです。彼女は続けて、私にいくつかのキーワードを教えてくれました。「ジパング倶楽部、知ってる?」「平日に旅するメリットって考えたことある?」「自治体独自の観光支援策も侮れないのよ」と、次々と具体的なヒントをくれたのです。その瞬間、「これだ!」と、私は希望の光を見つけました。美咲さんのアドバイスを胸に、私は再び夫婦旅行の計画に挑むことを決意しました。
諦めないで!60代夫婦の旅を劇的に変える「ジパング倶楽部」の魔法
美咲さんの言葉に背中を押され、私はまず「ジパング倶楽部」について調べてみました。JRの窓口でパンフレットをもらい、その内容に驚愕しました。なんと、JRの運賃・料金が20%〜30%も割引になるというのです。しかも、回数制限があるものの、グリーン車まで割引の対象になるなんて!「これはまさに、私たち60代のための魔法のカードじゃない!」と、私は興奮を抑えきれませんでした。
ジパング倶楽部で実現した夢の温泉旅行
早速、夫と二人でジパング倶楽部に入会し、美咲さんに教えてもらった通り、平日の温泉旅行を計画しました。行先は、以前から夫が行きたがっていた北陸の温泉地です。特急料金と乗車券が合計で30%割引になり、往復でかなりの金額を節約できました。宿泊は、美咲さんから「平日は宿の公式サイトをチェックすると、直前割や限定プランが出やすいわよ」と聞いていたので、その言葉を信じて探しました。すると、週末では考えられないような破格の「平日限定夫婦プラン」を見つけることができたのです。
旅館に着くと、そこは想像以上に素敵な場所でした。露天風呂付きのお部屋で、二人きりでゆっくりと湯に浸かる。地元食材をふんだんに使った夕食を囲みながら、夫と他愛もない会話に花を咲かせる。昔は当たり前だったこんな時間が、どれほど尊いものか、改めて感じることができました。「こんなに素敵な旅行が、こんなにお得にできるなんて…」と、私は夫の隣でそっと涙ぐんでしまいました。夫も「ありがとう。こんなに良い旅ができるなんて思わなかったよ」と、優しく私の手を握ってくれました。あの時の諦めそうな気持ちが嘘のようでした。美咲さんのおかげで、私たちは最高の思い出を作ることができたのです。
美咲さんが語る!60代夫婦が賢く旅を楽しむための秘訣
後日、美咲さんに旅行の報告をすると、彼女は嬉しそうに頷きながら、さらに具体的なアドバイスをくれました。彼女は、単に安いだけでなく、いかに「満足度の高い旅」にするかが重要だと言います。
「ねえ、良かったわね!ジパング倶楽部は本当に優秀でしょ?でもね、それだけじゃないのよ。賢く旅を楽しむには、いくつかポイントがあるの。まず、『平日』を選ぶこと。これはもう鉄則よ。宿泊施設も交通機関も、週末や祝日に比べて料金が格段に安くなるし、何より混雑を避けられるから、ゆったりと過ごせるわ。次に、『宿の公式サイト』をチェックする習慣をつけること。予約サイトには出てこない、公式サイト限定のプランや、直前割があることが多いのよ。特に、地域の観光支援策と連動したお得なプランは見逃せないわね」
美咲さんはさらに、「自治体の観光支援策」についても熱く語ってくれました。「地域によっては、宿泊費の補助や、地域で使えるクーポンを発行しているところも多いの。これはインターネットで『〇〇県 観光支援』とか『〇〇市 宿泊割引』って調べてみると良いわ。意外な掘り出し物が見つかることもあるのよ。あとは、『旅行会社のシニア向けプラン』も、たまにチェックする価値はあるわね。個人で手配するよりも、団体割引が適用されてお得になるケースもあるから。でも、一番大切なのは、焦らず、楽しみながら情報収集することよ。旅行の計画自体も、旅の醍醐味の一つなんだから」
ジパング倶楽部とシニア割引を最大限に活用するコツ
美咲さんのアドバイスを参考に、ジパング倶楽部とシニア割引を最大限に活用するためのポイントをまとめました。
- ジパング倶楽部の活用:
- JR線の運賃・料金が20%〜30%割引。年間利用回数に制限があるため、計画的に利用しましょう。
- 新幹線や特急列車も対象。特に長距離移動で効果を発揮します。
- 入会資格は男性満65歳以上、女性満60歳以上。年会費がかかりますが、旅費の割引額を考えればすぐに元が取れます。
- シニア割引の探し方:
- 航空会社、フェリー会社、高速バスなど、交通機関ごとにシニア割引があるか確認しましょう。
- 観光施設(美術館、博物館、テーマパークなど)でもシニア料金が設定されていることが多いです。
- 宿泊施設によっては、独自のシニア向けプランや、60歳以上限定の割引を提供している場合があります。
- 平日旅行のメリット:
- 宿泊費、交通費が安い。
- 観光地や宿泊施設が空いていて、ゆったりと過ごせる。
- 予約が取りやすい。
- 自治体の観光支援策:
- 旅行前に、訪問予定の自治体の観光協会や公式サイトで情報をチェックしましょう。
- 「Go To トラベル」のような全国的なキャンペーンだけでなく、地域独自の割引やクーポンがあることも多いです。
- 居住地の自治体から、旅行支援の制度が出ている場合もあります。
- 宿泊予約の賢い方法:
- まずは宿の公式サイトをチェック。限定プランや直前割を見つけやすいです。
- 複数の予約サイトを比較検討し、最安値を探しましょう。
- ポイントサイトを経由して予約すると、さらにポイントが貯まってお得です。
60代夫婦の旅を豊かにする!賢い宿選びと体験のヒント
美咲さんのアドバイスは、単に費用を抑えるだけでなく、旅そのものの質を高めることにも繋がると気づきました。私たち夫婦にとって、旅行とはただの移動や宿泊ではなく、二人で過ごす時間そのものが何よりの宝物だからです。だからこそ、宿選び一つにもこだわりたい。
夫婦で心からくつろげる宿の選び方
- 温泉の質と種類: 夫婦二人でゆっくりと浸かれる貸切風呂や、趣のある露天風呂がある宿は特におすすめです。泉質も事前に調べておくと良いでしょう。
- 食事の内容: 地元の旬の食材を使った料理や、部屋食が選べる宿は、二人の時間をより豊かにしてくれます。アレルギー対応や、量を選べるプランがあるかも確認しましょう。
- 静かな環境: 繁華街から少し離れた、自然に囲まれた静かな場所にある宿は、日常の喧騒を忘れさせてくれます。
- バリアフリー対応: 足腰に不安がある場合は、エレベーターの有無や段差の少ない部屋など、バリアフリー対応の宿を選ぶと安心です。
- 口コミの活用: 実際に宿泊した人の口コミは、写真だけでは分からない宿の雰囲気やサービスを知る上で非常に参考になります。特に「シニア夫婦」の口コミは要チェックです。
旅をさらに楽しむための体験
- 地域の文化体験: 伝統工芸の体験や、地元の歴史を学べるツアーに参加するのも良いでしょう。夫婦共通の趣味を見つけるきっかけにもなります。
- 自然散策: 温泉地の周辺をゆっくりと散策したり、景色の良い場所で休憩したり。無理のない範囲で、自然を満喫する時間を取り入れましょう。
- 地元の食事処: 観光客向けではない、地元の人に愛される小さな食堂や居酒屋を探すのも旅の楽しみの一つです。意外な出会いや発見があるかもしれません。
夫婦旅行の不安を解消!よくある質問と美咲さんのアドバイス
Q1: ジパング倶楽部に入会するメリットは年会費に見合いますか?
A: 美咲さんによると、「年に1回でも長距離の旅行をするなら、十分元が取れるわよ。例えば東京から京都まで新幹線往復するだけでも、割引額は数千円から1万円以上になることもあるから。何より、旅行の選択肢が広がるのが一番のメリットね」とのことでした。私も実際に利用してみて、その恩恵を強く感じました。
Q2: シニア割引はどこで確認すれば良いですか?
A: 交通機関や宿泊施設の公式サイト、または電話で直接問い合わせるのが確実です。自治体独自の割引は、その地域の観光協会や観光情報サイトで確認できます。美咲さんは、「まずは『〇〇(行きたい場所) シニア割引』で検索してみて、その後に個別の施設サイトをチェックする、という流れが良いわね」と教えてくれました。
Q3: 平日旅行の注意点はありますか?
A: 観光施設や飲食店によっては、平日休業の場合があります。事前に営業時間や定休日を確認しておくと安心です。また、交通機関の本数が少ない場合もあるので、時刻表の確認も忘れずに。美咲さんは、「デメリットは少ないけど、お土産屋さんが閉まっていることもあるから、事前に調べておくのが賢いわ」とアドバイスしてくれました。
Q4: 夫婦で旅行する際の宿選びのポイントは?
A: 「何よりも二人がリラックスできるかどうかを優先してね」と美咲さん。部屋の広さ、ベッドの快適さ、温泉の種類、食事の質、そして宿の雰囲気など、二人の好みが合う場所を選ぶことが大切です。また、部屋に露天風呂が付いているプランや、貸切風呂がある宿だと、周りを気にせずゆっくり過ごせます。
旅は夫婦の絆を深める最高の投資!今日から始める賢い旅行計画
夫と二人で過ごした温泉旅行は、私にとってかけがえのない宝物になりました。費用を理由に諦めかけていた旅が、美咲さんのアドバイスとジパング倶楽部のおかげで、想像以上に豊かで楽しいものになったのです。旅は、ただの娯楽ではありません。共に新しい景色を見て、美味しいものを味わい、語り合う時間は、夫婦の絆を再確認し、お互いへの感謝を深める最高の投資だと、私は心から思います。
60代からの旅行は、無理なく、そして賢く楽しむ時代です。ジパング倶楽部のような制度を上手に活用し、平日のゆったりとした時間を狙い、自治体の支援策にも目を光らせる。そうすることで、きっとあなたも、私たち夫婦のように、心ゆくまで旅を満喫できるはずです。さあ、今日からあなたも、パートナーとの素敵な旅の計画を始めてみませんか?きっと、新しい発見と感動が、あなたたち夫婦を待っていますよ。
この記事を書いた人
山本 恵子 | 63歳 | 夫婦旅行の達人を目指すWebライター
夫と二人暮らしの60代主婦。以前は旅行は贅沢品だと思っていましたが、ひょんなことからお得な旅行術に目覚めました。特にシニア世代向けの割引や、地域ならではの魅力を発掘するのが得意。同じように「夫婦で旅行したいけど、費用が気になる」という方の力になれるよう、実体験に基づいたリアルな情報発信を心がけています。次の目標は、北海道一周夫婦旅です!

