「毎月、この保険料が家計から消えていくのかと思うと、胸が締め付けられるようでした。」
こんにちは、佐藤恵子、50代後半の主婦です。夫が60歳を迎え、子供たちも独立し、長年払い続けてきた住宅ローンもようやく完済。ホッと一息つくはずが、私には新たな悩みが生まれていました。それは、夫が現役時代に加入していた高額な生命保険の保険料です。年金生活が始まり、家計を見直すたびに、この重い負担がのしかかってくるように感じていたのです。
「この高額な死亡保障、本当に今の私たちに必要なのだろうか?でも、解約してしまって何かあったら…。」
漠然とした不安と、どうすれば良いかわからない迷い。このままでは、せっかくの年金生活が苦しくなるばかりだと、焦燥感に駆られていました。もしかしたら、あなたも同じような悩みを抱えているのではないでしょうか。
60代に「現役時代の保障」はなぜ重荷になるのか?
多くの人が、社会人になったり、結婚して子供ができたりするタイミングで生命保険に加入します。その際、万が一の時に「家族の生活費」「住宅ローンの残債」「子供の教育費」などをカバーできるよう、手厚い死亡保障を選ぶのが一般的です。しかし、60代を迎え、子供が独立し、住宅ローンも完済したあなたにとって、その高額な死亡保障は本当に必要でしょうか?
生命保険文化センターの調査でも、世帯主の死亡保障額は年齢とともに減少していく傾向にあります。これは、ライフステージの変化とともに、必要な保障額が変わるというごく自然な流れなのです。にもかかわらず、多くの人が「なんとなく不安だから」「見直すのが面倒だから」と、現役時代の高額な保険を漫然と払い続けてしまいます。その結果、年金生活の貴重な収入が、もう必要のない保障に消えていくという「見えない重荷」を抱えてしまうのです。
「季節外れのコート」を脱ぎ捨てる勇気:私の見直し体験
私もまさにその一人でした。夫の給与明細から引かれる高額な保険料を見るたびに、「もう少し家計が楽にならないかしら…」とため息をつく日々。しかし、保険の専門知識もない私が、夫の生命保険をどう見直せばいいのか、見当もつきませんでした。
「こんなはずじゃなかった。もっと早く見直していれば、このお金で旅行にでも行けたのに…。」
そんなある日、長年の友人であるファイナンシャルプランナー(FP)の田中由美さんと久しぶりに会う機会がありました。夫の保険の悩みを打ち明けると、田中さんは優しく耳を傾けてくれました。
「ねえ、恵子さん。生命保険って、例えるなら『季節に合わせたコート』みたいなものなのよ」と田中さんは言いました。「真冬には分厚いコートが必要だけど、夏になったら脱ぐでしょう?それなのに、多くの人は夏になっても真冬のコートを着続けて、重くて暑苦しいって嘆いているの。今の恵子さんのご主人の保険も、もしかしたら『季節外れのコート』になっているのかもしれないわね」
この言葉は、私の心に深く響きました。まさに、私たちの現状を表しているようでした。
FPが教える!60代に必要な保障と見直しの3ステップ
田中さんは、60代からの生命保険の考え方について、具体的に教えてくれました。重要なのは「死亡保障」よりも「生きるための保障」にシフトすることだというのです。
1. 死亡保障の役割を見極める
「子供が独立して、住宅ローンも完済したなら、ご主人の死亡保障で残された家族が困窮するリスクはかなり低いでしょう?残された奥様の生活費や、葬儀費用など、本当に必要な金額だけを考えればいいのよ。」
田中さんは、夫婦それぞれの年金受給額や貯蓄額を考慮し、本当に必要な死亡保障額を割り出す手伝いをしてくれました。現役時代のような高額な死亡保障は、多くの場合、もう不要なのです。
2. 医療保障・介護保障の強化を検討する
「むしろ、60代で最も心配すべきは、病気やケガによる医療費、そして介護費用です。平均寿命が延びた今、健康寿命とのギャップを埋めるための備えが大切になってくるわ。」
高額な医療費や、長期にわたる介護費用は、貯蓄だけでは賄いきれない可能性があります。公的医療保険や介護保険の制度を理解しつつ、不足する部分を民間の医療保険や介護保険で補うことが、安心した老後を送るための鍵となります。
3. 不要な保険料を「老後資金」へシフトする
「見直して削減できた保険料は、そのまま貯蓄に回したり、年金生活を豊かにするための資金にしたりできるわ。無理のない範囲で、資産運用を検討するのも一つの手よ。」
田中さんのアドバイスのおかげで、私たちは夫の生命保険を大幅に見直すことができました。不要な死亡保障を減らし、代わりに医療保障を充実させることで、保険料の負担は大きく軽減され、心の重荷もスッと軽くなったのを感じています。
過去の呪縛を解き放ち、賢い選択で未来を豊かに
生命保険は、私たちの人生のステージに合わせて形を変えるべきものです。子供の独立や住宅ローンの完済という大きな節目を迎えた60代は、まさにその見直しの最適なタイミングと言えるでしょう。現役時代の「季節外れのコート」をいつまでも着続けていては、身動きが取れず、せっかくの年金生活も楽しめません。
私たち夫婦は、FPの田中由美さんの助けを借りて、過去の保険の「呪縛」から解放され、本当に今の私たちに必要な保障と、賢い老後資金の活用法を見つけることができました。もしあなたが今、高額な生命保険料に悩んでいるなら、一人で抱え込まず、ぜひ専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみてください。きっと、あなたの家計と心に、新たな光が差し込むはずです。
この記事を書いた人
佐藤 恵子 | 50代後半 | 人生設計アドバイスWebライター
夫が60歳を迎え、自身の老後資金計画に真剣に向き合う中で、長年の友人であるファイナンシャルプランナーの助言を得て、家計と心の重荷から解放された経験を持つ。現在は、同じような悩みを抱える方々の力になりたいと、Webライターとして活動中。読者の心に寄り添い、具体的な解決策を分かりやすく伝えることを得意とする。

