夫が定年を迎え、私たち夫婦もいよいよ本格的な年金生活が始まりました。貯金はなんとか1000万円ほどあるものの、持ち家ローンは終わったとはいえ、漠然とした不安が私を襲います。50代後半の主婦である私も、これからの人生を考えると「この貯金で本当に大丈夫なのだろうか…」「年金だけでゆとりある生活ができるのだろうか…」と、夜中にふと目が覚めることが増えました。まさか、こんなに老後が不安になるなんて…。このままじゃ、夫婦の笑顔が消えてしまうのではないか、とさえ感じていました。
漠然とした老後資金の不安、その正体は何?
多くの60代夫婦が抱える「老後資金の不安」。その背景には、年金受給額の減少、物価の上昇、そして何より「人生100年時代」と言われる長寿化があります。私たち夫婦も例外ではありませんでした。
「もっと早くから準備しておけばよかった…」
そんな後悔の念が頭をよぎるたび、私は焦燥感に駆られました。しかし、ただ漠然と不安に思っていても何も解決しません。私と同じように「年金だけでは不安」「貯金1000万円で足りるのか」と感じているあなたも、きっと同じ気持ちでしょう。一体、何から手をつければいいのか。どこまで節約すれば安心できるのか。そして、この年齢からでも安全にお金を増やす方法はないのか、と。
一般的な節約術は「我慢」が先行しがちです。食費を削る、娯楽を減らす…。しかし、これではせっかくの老後生活が味気ないものになってしまいます。大切なのは、賢く、そして無理なく継続できる方法を見つけること。でも、それがなかなか難しいんですよね。
そんな私の悩みに光をくれたのは、長年の友人であるファイナンシャルプランナー(FP)の田中由美さんでした。ある日、喫茶店で由美さんに「ねえ、由美。うちの夫が定年して、老後のお金のことが本当に不安で…」と打ち明けた時のことです。
「恵子、大丈夫よ。漠然とした不安は、家計の『見える化』で消えるわ。それに、60代からでもできることはたくさんあるのよ」
由美さんのその言葉に、私はどれだけ救われたことか。まるで、暗闇の海で羅針盤を見つけたような気持ちでした。
夫の定年後、我が家を襲った「見えない不安」との戦い
夫が退職し、自宅で過ごす時間が増えた頃、私たちの生活には少しずつ変化が訪れました。現役時代はそれなりに収入があり、家計管理もそこまで厳しくなかったのですが、年金生活が始まると、突如として「お金の減り方」が気になるようになったのです。
「今月は、食費が少し多かったかしら…」
「この電気代、どうにかならないものかしらね」
夫婦の会話は、いつしかお金の話ばかりに。私は「これではいけない」と、手当たり次第に節約を始めました。スーパーの特売品を追いかけ、エアコンの使用を控えめにし、不要なものを買わないように意識しました。しかし、どれだけ頑張っても、貯金が目に見えて増えるわけではありません。それどころか、我慢ばかりの生活に、夫婦の間にピリピリとした空気が流れ始めました。
「なんでこんなに頑張ってるのに、全然貯まらないんだろう…」
「もう、このままじゃダメかもしれない…」
そんなある日、由美さんに会う機会があり、正直な気持ちを打ち明けました。由美さんは私の話をじっと聞いてくれ、優しく、でもはっきりとこう言いました。
「恵子、まずは何にいくら使っているか、家計全体を把握することが第一歩よ。闇雲な節約は、かえってストレスになるだけ。そして、60代からの資産運用は『守り』が鉄則。リスクを抑えて確実に増やせる方法もあるのよ」
由美さんの言葉は、まさに目から鱗でした。それまでの私は、漠然とした不安に駆られ、ただ「節約しなくては」と焦るばかりで、具体的な計画が全くなかったのです。由美さんのアドバイスを受け、私は家計の「見える化」と「安全な資産形成」に本気で取り組むことを決意しました。これなら、私たち夫婦もまだまだやれる!そう強く思えました。
FP田中由美さんが語る!60代夫婦のための「安心」を手に入れる家計術
由美さんのアドバイスは、非常に具体的で実践的なものでした。ここでは、由美さんから教わった「60代夫婦が安心を手に入れるための家計術」を詳しくご紹介します。
1. 家計の「見える化」と「棚卸し」で無駄を炙り出す
由美さんいわく、まず大切なのは「何にいくら使っているか」を正確に把握すること。家計簿アプリやスプレッドシートを活用し、1ヶ月間の収支を細かく記録しました。
「恵子、まずは固定費から見直すのが効果的よ。一度見直せば、ずっと効果が続くから」と由美さん。
- 通信費: スマートフォンを格安SIMに乗り換え。夫婦で月5,000円以上削減できました。
- 保険料: 不要な特約がないか、保障内容が現状に合っているか確認。保険会社の担当者と相談し、数千円の削減に成功しました。
- サブスクリプション: 見ていない動画配信サービスや、使っていないアプリの月額課金を解約。これも数百円から数千円の削減に。
- 電力会社: より安い料金プランを提供する会社へ切り替え。地域によっては大きな差が出ます。
変動費(食費、娯楽費、医療費など)は、一週間単位で予算を立て、週ごとに見直すようにしました。特に食費は、まとめ買いやふるさと納税の活用で、賢く節約できるようになりました。
2. 60代からの「守り」の資産形成:個人向け国債という選択
「貯金1000万円をただ銀行に預けておくだけでは、物価上昇に負けてしまう可能性もあるわ。少しでも増やすことを考えないと」と由美さんは言いました。
しかし、60代で大きなリスクは取りたくありません。そこで由美さんが強く勧めてくれたのが「個人向け国債」でした。
個人向け国債とは?
国が発行する債券で、個人でも1万円から購入できます。最大の特徴は「元本保証」と「最低金利保証(年0.05%)」。つまり、預けたお金が減る心配がなく、どんなに市場金利が下がっても、年0.05%の利息は保証されるのです。満期前に換金することも可能で、金利も半年ごとに見直される「変動10年型」が特に人気だそうです。
「銀行預金よりは金利が高いし、何より安全性が高い。60代からの資産形成にはぴったりよ」と由美さん。
私も由美さんのアドバイスを受けて、さっそく銀行の窓口で相談し、個人向け国債の購入を検討しました。担当者の方も丁寧に説明してくださり、安心して始めることができました。もちろん、投資は自己責任。必ず金融機関の窓口やFPに相談し、リスクを理解した上で判断することが重要です。
3. NISAやiDeCoも視野に:無理のない範囲で非課税メリットを享受
由美さんは、個人向け国債だけでなく、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)についても教えてくれました。
「NISAは、投資で得た利益が一定額まで非課税になる制度よ。60代からでも、リスクの低い投資信託などを選べば、非課税のメリットを享受できるわ」
私は、まずは個人向け国債から始め、慣れてきたら、新NISAのつみたて投資枠で、全世界株式やS&P500のようなインデックスファンドを少額から試してみることにしました。無理のない範囲で、少しずつ資産を増やしていくことが目標です。
よくある質問:60代夫婦の老後資金に関する疑問を解消!
Q1: 60代からでも貯金は増えますか?
A1: はい、十分可能です。FPの田中由美さんによると、「固定費の見直しと家計の見える化を徹底すれば、月数万円の貯蓄を増やすことは決して難しくありません。大切なのは、諦めずに今から始めることです」とのことです。
Q2: 個人向け国債以外に安全な商品はありますか?
A2: 定期預金やMMF(マネー・マネージメント・ファンド)なども比較的安全性が高いとされています。ただし、金利は個人向け国債よりも低い傾向があります。また、貯蓄型保険なども検討できますが、加入前に解約返戻金や手数料などをしっかり確認しましょう。金融機関の窓口やFPに相談し、ご自身のリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
Q3: 夫婦で意見が合わない時はどうすればいいですか?
A3: まずは夫婦で「何のために老後資金を準備するのか」という共通の目標を持つことが大切です。由美さんは「夫婦で具体的なライフプランを話し合い、お互いの不安や希望を共有することが第一歩よ。家計の見える化を一緒に進めることで、現実を共有しやすくなるわ」とアドバイスしてくれました。
Q4: どこに相談すればいいですか?
A4: 金融機関(銀行、証券会社)の窓口や、独立系のファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのがおすすめです。多くの金融機関で無料相談を実施しており、ライフプランニングや資産運用のアドバイスを受けることができます。
老後資金の不安を希望に変える、これからの夫婦の羅針盤
夫の定年後、漠然とした老後資金の不安に押しつぶされそうだった私が、今では少しずつ自信と安心を取り戻しています。FPの田中由美さんとの出会い、そして家計の「見える化」と「守り」の資産形成を実践したことで、私たち夫婦の未来は大きく変わりました。
月々いくら貯金に回せるかが見えるようになり、個人向け国債で少しずつでも資産が増えていく手応えを感じています。何よりも、お金の不安が減ったことで、夫婦の会話も増え、笑顔で過ごせる時間が増えました。
「もう遅い」なんてことはありません。60代からでも、賢い節約と安全な資産形成は十分に可能です。まずは家計の棚卸しから始めてみませんか?そして、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーのような専門家に相談し、あなたに合った「羅針盤」を見つけてください。きっと、不安だった未来が、希望に満ちたものに変わっていくはずです。私たち夫婦のように、あなたも安心してこれからの人生を歩んでいけるよう、心から応援しています。
この記事を書いた人
佐藤 恵子 | 58歳 | ライフプランナーを夢見るwebライター
夫の定年を機に、老後資金の不安に直面。FPの友人との出会いをきっかけに家計管理と資産形成に目覚める。自身の経験を活かし、同じ悩みを持つ人々が安心して未来を迎えられるよう、わかりやすい情報発信を心がけている。

